おしえて、センパイ!写真家/蜷川実花センパイ

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4「ステキ」って思って撮ると、ステキに写ってるんですよ

女子プロ 蜷川さんは、遊郭とか、神秘的な、女の子の心の奥にあるような映像を世に発表されて、女性の世界観を定着させたじゃないですか。ああいうものって、昔からお好きなんですか?
蜷川 自分の写真のテイストとか、蜷川実花ってこういう人だとかで、あんまり悩んだことがないんです。自分が好きなことを、どういうふうに出していくかってことは考えたんですけど、自分のオリジナリティは何だろうって、考えたことがないですね。 ポイントは、「好きだから、そのままやった」ということ。通常はやっちゃいけないことを、知っててやらないんじゃなくて、やっちゃいけないと知らずに、やったんです。ズッポ抜けてるというか(笑)。そこが良かったみたいで。だから反骨精神もないし、女だからどうこうっていう思いもないんです。
女子プロ 女だから苦労した、ってことはないんですか。
蜷川 よく、そこを求められるんですけど(笑)、男性とか、マスメディアに「女でどれくらい大変だったか」って訊かれるんですよね。私より上の世代の方達は、闘わないと表現することが出来なかったと思うんですけど、私は「これやりたいんです」ってやれるようになった、最初のほうの世代だと思うんです。女であることの大変さに、とくに物申したいということはないんです。 撮影の現場って、編集者とかも、女性スタッフが多いんですよ。だから現場レベルでは全然...お菓子食べながら「可愛いね」なんて言いながら撮影して。その上には男性のデスクがいるんでしょうけども、直接的に何か問題あったことは、なかったな。
女子プロ 花をいっぱい撮られてますけど、小さい頃から花がお好きだったんですか。
蜷川 小さい頃からってわけじゃないんですよね。絵を描いてた時は、花を描くのは好きで、上手かったんですけど。花は、普通の人よりは、ちょっとは好きなくらいで...、あったら撮っちゃうっていうか。
ご自分の花の写真に囲まれている蜷川さん。「花は、普通よりちょっと好き」で、こんなインパクトのある写真が撮れるんですか? なぜに!?

ご自分の花の写真に囲まれている蜷川さん。「花は、普通よりちょっと好き」で、こんなインパクトのある写真が撮れるんですか? なぜに!?

女子プロ 蜷川さんが「ステキ」と思ったものを撮ると、頭の中でみえてるイメージが、そのまま撮れるものなんですか?
蜷川 それがね、「ステキ」って思って撮ったら、ちゃんとステキに写ってるんですよ! それはもう何でだか分からないです。ちゃんと写るし、人を撮る時でも「きた!」と思ったら、露出とか間違えない限り、ちゃんと写ってますね。
女子プロ すごいです! 私たち素人だと、ステキと思って写真に撮っても、後で見てガッカリすることばっかりで。
蜷川 それは何なんでしょうねー。説明つかないんですよね。それに絶対に感情が入ってないと、写真は良くないんですよね。

5権力は、あるにこしたことはない!

女子プロ 好きな男性のタイプってありますか?
蜷川 好みのタイプは一貫してますよ......ちょっと面倒くさそうな男。
女子プロ ああああ(笑)。
蜷川 赤レンジャーじゃない人、っていうか。
女子プロ バンドだと、ボーカルでもギターでもなくて、ベースとかですか?
蜷川 そうですね。でもギターに言いよられたら、そっち行っちゃうかも(笑)。 私、赤レンジャーとかボーカルには、近寄って来られないタイプなんです。でもそういう話をしたら、友だちに「実花さんが赤レンジャーだから、キャラがかぶっちゃうから駄目なんでしょ!」って言われましたね。
女子プロ なるほど。
蜷川 そういえば赤レンジャーっぽいことをしてきたな、と。今の事務所のスタッフ達にも「私に連いてきな、世界を見せてやるぜ!」とか言ってるなー、と思って。
女子プロ チームリーダーですね、オトコマエですね!
蜷川 やっぱり赤レンジャーなんですよね。だからモテないんですよ...。
女子プロ 蜷川さんは、デビューから一貫して人に対する態度が変わらない、って別のインタビューで拝見したんですが。
蜷川 たぶん今、皆さんに「気さくないい人」だと、思って頂けてるんじゃないかと思うんですけど(笑)。
女子プロ (笑)はい。
蜷川 ずーっとこうなんですよ。無名な時からこんななので、当時は「態度がでかい、生意気」って言われたんですけど、世に知られていくと同時に「有名なのに、いい人」に変わっていったんですよね。
上図のように、権力が上がれば上がるほど、普通にしていても「気さく」になります。

上図のように、権力が上がれば上がるほど、普通にしていても「気さく」になります。

蜷川 これからはね、権力のあるいい人になりたいですね!
女子プロ 権力のあるいい人(笑)。
蜷川 権力があると人は寄って来るので、例えば、ちょっと無理めな企画をやりたいと言った時でも、出来ないことが出来るようになったりするわけですよ。皆に「蜷川さんだったら出たい」と思ってもらうためにも、その力は、絶対に持つべきだと思って。権力ってカッコ悪いと思う部分もありますけど、でもイヤイヤ、あるにこしたことはないな、と。
女子プロ 自分の中で、これは女だなーという部分はありますか?
蜷川 ありますよ。恋愛すると、超可愛くなるし(笑)。ものの作り方は、やっぱり女っぽいと思いますね。最初にコンセプトがあって、こういう写真を撮ろうっていうのじゃなくて、こういうの撮りたい、だって好きなんだもの、って思いますから。
「だって好きなんだもん」って女性的でしょう? スタートはそこで、後で、こういう理由があったからこうなったのね、って説明出来るようにはなるんですけど。
女性の難しいところって、「だって好きなんだもん」って思って、いいものを作ったり、いい感覚を持ってたりする人はたくさんいるのに、それを世の中に出して、お金に変えるための俯瞰の目線を、持っていないことなんじゃないかな。もったいないですね。プロデュースしてくれる人がいればいいんでしょうけど、なかなかめぐり会えないし。自己プロデュースが出来ればいいと思いますけどね。
女子プロ 自己プロデュース力をもつには、どうしたらいいんでしょう?
蜷川 全体に目を向けると、物事がスムーズにすすむと思いますよ。それには俯瞰の目線を持つしかないと思うんですけど...、やはり女の子は、目の前のことしか見えないんですよね。そこが強みでもあるんだけど、最大の弱点でもあるというか。全体が見えてないぞ、と意識するだけで違うと思いますよ。私も見えてない時があるし。
女子プロ 蜷川さんは、俯瞰をずっと意識してきたんですか。
蜷川 小さい頃、自分の泣き顔を鏡で見てたくらいだから、もしかしたら、そういう何かがあったのかもしれませんね。 あと、最初にフリーで仕事を始めた時、当時「女の子写真家ブーム」というのがあって、その中からどういうふうに「蜷川実花の写真」を見てもらうか、考えなくちゃいけなかったんですよ。自分が蜷川幸雄の娘だっていうのもあったし、私個人はどうしたらいいんだろうって、考えざるをえない環境にあって、鍛えられたっていうのはありますね。

6蜷川さんの考える「ガーリィ」とは?

女子プロ あの、蜷川さんの作品はガーリィってよく言われますが、ガーリィって言葉に、何か違和感はないですか。ガーリィって言葉は、女の子はスキルは無いけどセンスはあるよね、みたいな、ちょっと差別的なニュアンスを含んでいる気がするんです。
蜷川 ちょっと前までは、「何がガーリィなんだろう?」って思ってましたね。私って、私が思っている以上に、ガーリィだと思われてると、思うんです。 でも例えば、やりたいことがあって、それを貫き通そうと思った場合、結局すごく技術的なことが必要で。話術だったりリーダーシップだったり、現場の空気感を作ることだったり、露出がいくつだとか、そういうこと出来がないと、実は成立しないんですよね。
何だろなあ。なんでガーリィなのかなあとずっと思ってたんですけど。映画をやった時に、それまでは自分でいいなと思ったものを撮ってただけだったけど、映画のスタッフは大人数なので、なぜこれが撮りたいのか、全部言語で説明しなきゃいけなかったんですよ。それで男性スタッフに説明していたんですけど、「要は好きだから撮りたいの、うるさいなあー!」って思ってしまって(笑)。
女子にとってはめくるめく彩りの世界でした。安野モヨコさん原作、土屋アンナさん主演。蜷川さんが監督した映画『さくらん』DVD 111分 ¥3455(税込)角川エンタテイメント。

女子にとってはめくるめく彩りの世界でした。安野モヨコさん原作、土屋アンナさん主演。蜷川さんが監督した映画『さくらん』DVD 111分 ¥3455(税込)角川エンタテイメント。

女子プロ (笑)そう言ったんですか?
蜷川 もちろん言いませんよ(笑)。結局は説明してもしても「好きだから」ってことにしかならなくて。最後には女性スタッフを集めて、「こういうの好きでしょ?」って訊いて、「ハイ!」って言ってもらって、「そういうわけで、女性はこういうのが好きなんです」って説明したりしましたねえ(笑)。
そこで初めて、ああ私って女っぽい作り方をするんだなあ、って認識して。それがガーリィだと言うんなら、私は間違いなくガーリィですわ、と思いましたね。 ガーリィの定義って何なのかなあって、考えたりもするけど、今は、もうある程度自信があるから、ガーリィっていう言葉じりをとって、「何、ガーリィって」とかイラつくことはなくなりましたね。
ガーリィって言われたら、まあ、ガーリィかも...、否定はしません、というところに落ち着きました(笑)。
海外のメディアに、「カワイイ」について説明してくれって言われたりもするんですけど、わっかんないですよね。むしろ説明して欲しいくらいですよ。カワイイって何なんですかね?
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