おしえて、センパイ!写真家/蜷川実花センパイ

東京女子プロジェクト(女子プロ)のメンバーが、憧れの「センパイ」に、女子の幸せについて聞きに行く! という当コーナー。第5回は、写真家・映画監督として活躍中の、蜷川実花センパイ! 90年代から現在まで、カラフルでせつない写真を撮り続け、女子から絶大な支持を受けまくり「ガーリィの象徴」のように思われているセンパイですが、実は気さくで超オトコマエな女性だった!? 女子プロチーム、感激のインタビューです! 

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女子はもっと自己プロデュース力をつけるべき

1決断は何事も早い方です

女子プロ 蜷川さん、毎回ゲストには献上品をお持ちすることになっているんですが、今回は蜷川さんの作品のような、カラフルなお菓子を選んでみたんですけど...。
蜷川 わあ可愛い! ありがとうございます。このキャンディー、美味しそうだね。
蜷川さんの写真に似てる...かどうかは分かりませんが、とりあえず美しいお菓子を、貢ぎ物として持っていきました。喜んでくださって嬉しい...!

蜷川さんの写真に似てる...かどうかは分かりませんが、とりあえず美しいお菓子を、貢ぎ物として持っていきました。喜んでくださって嬉しい...!

女子プロ こちらの事務所、お部屋の内装が、スゴイですね。
蜷川 楳図かずお先生の、楳図ハウスの写真集を撮っていたんですけど、その時に自分の事務所の引っ越しがあって、影響を受けてしまったんです。ここまでするつもりはなかったんですけど、やっぱりこのくらいやらなきゃ駄目だなーと思って。
女子プロ いやあ、本当に素晴らしいですよ!
蜷川 今、皆さんが中に入ってきた時に「わあーっ」って反応してくれたの、聞こえてたんですけど(笑)、そういうのがいちばん嬉しいですね。
玄関には幻想的な美しいシャンデリア。部屋の壁には、展覧会などに使う美術館仕様の大きな写真が! 被写体のお花は、以前に事務所をかまえていた、中目黒・目黒川の桜だそうです。

玄関には幻想的な美しいシャンデリア。部屋の壁には、展覧会などに使う美術館仕様の大きな写真が! 被写体のお花は、以前に事務所をかまえていた、中目黒・目黒川の桜だそうです。

女子プロ 引っ越されたのは、最近だそうですね。
蜷川 手狭になって、検索してね、1件目に出て来たところなんですよ。内覧に来て、値段も立地も日当りも良かったので、すぐ借りちゃったんです。
女子プロ え、ええー!
蜷川 私、めちゃめちゃ買い物早いですよ。車もそんな感じで買うので、皆に驚かれますね。
女子プロ 好きなものがハッキリしてるからですか?
蜷川 そうだと思いますね。チェック項目を決めて、これとこれがオッケーだったらいい、っていう。完璧主義じゃなくて、諦めるのが早いんです(笑)。 仕事も、私の現場は早いですよ、見たら絶対にビックリすると思う。細かいところで、この影が嫌だ! ってこだわっているうちに、モデルさんが疲れてテンションが下がっちゃうくらいなら、「こんな影、誰も見ないよ!」と割り切って、いい表情のうちに撮るんです。優先順位の上の何個かだけを、大事にしていますね。

2撮られるのを嫌がる人が、好みの被写体です

女子プロ 蜷川さんは、どんな少女だったんですか?
蜷川 小さい頃は、マセてたみたいで。小学校低学年の頃、親に怒られて泣いたりすると、自分がどういう顔して泣いているのか、鏡で見てたらしいです。
女子プロ それは...変わってますね。
蜷川 自分に対する興味があって、自分を客観的に見つめたいという気持ちが、そのころからあったんだと思います。自分の見たことがない顔を見たい、発見したいっていう。それは今も続いてますね。 中高生の時は、文学少女ではあったんですけど、チーマー全盛期だったので、そういう格好をして歩いたりして。当時って、文化系とそうでないものが、はっきり分かれてたじゃないですか。優等生か不良か、みたいな。両方っていうのは、珍しかったと思います。センター街にいるんだけど、カバンには太宰治が入ってるような(笑)。
女子プロ その時は、写真は撮っていたんですか。
蜷川 カメラを買ったのは高校1年生の時で、でも写真家になるつもりは全然なかったですね。今、皆さんがカメラ買うのと同じ動機で買っただけで。撮ってると、何か作っているような、自己表現出来てる気になれるじゃないですか。そういう身近なツールだっただけです。
女子プロ 最初から一眼レフを買ったんですか。
蜷川 家にコンパクトカメラがあって、中学生の時はそれで撮ってたんですけど、ピントが合わないとシャッターが押せないやつだったんです。それがあまりしっくりこなくて、一眼レフなら自分の好きなように、ピントが合わなくても撮れると知って、買いました。
女子プロ ちなみに最初に買ったカメラって何ですか?
蜷川 ミノルタのX7000です。中古で、ズームレンズとボディで5万円くらいだったかな。
女子プロ 高校生の買い物としては、大きいですね。
蜷川 おとし玉の貯金をくずして買いましたねえ。
女子プロ その時から、ボケた写真で何が悪い! って思っていたんですか。
「カメラは独学だから、『こういうことはやっちゃいけない』とか、 思わなかったんです」

「カメラは独学だから、『こういうことはやっちゃいけない』とか、 思わなかったんです」

蜷川 カメラマンになるつもりも無かったかったので、「何で悪い!」とも思っていなくて。よく、わざとぶらしてるとか、そこに狙いがあるのか、って訊かれるんですけど、ただ「こうやっちゃいけない」と思わなかっただけなんです。独学なので、こうしなきゃいけないと習っていないので、それに反発してるわけでもないし。自分に心地良ければ良かったんです。
女子プロ 女性写真家は、自分撮りをする方が多いですが、蜷川さんは、妹さんを被写体にされてますよね。それは何故なんですか。
蜷川 妹、可愛いんですよ。とくに若い頃は本当にキレイで。とくに何も考えずに、妹を撮ってたんだと思いますね。
女子プロ 近しい存在だし、撮りやすいし、いじりやすかったからとか。
蜷川 最初はそうだったんですけど、考えてみると、女の好みの原点が、妹なんです。それもどうかと思うんですけど(笑)。彼女、撮られるのが嫌で、嫌がるのを無理矢理撮ってたんです。今もお仕事で、「今、シャッター押してね! ニコーッ」ってムンムンに来る人より、「そんなに撮られるのは好きじゃないんですけど...」っていう人のほうが撮りやすいですね。「ここがステキだな」って探していくほうが、好きなのかもしれないです。
女子プロチームに、スタッフさんが出してくださったお茶。お部屋の内装もキレイだけれども、コーヒーカップも美しいデザインのものでした。ステキ。

女子プロチームに、スタッフさんが出してくださったお茶。お部屋の内装もキレイだけれども、コーヒーカップも美しいデザインのものでした。ステキ。

3流れてたどりつくように、写真家になりました

女子プロ 10代から、アーティスト志向だったんですか。
蜷川 家がそうだったっていうのもあるんですけど、絶対、何か作る人になるんだろうなって思ってましたね。お嫁さんになりたいとか、ケーキ屋さんになりたいとか、1回も思ったことがなくて。表現する人になりたかったですね。
女子プロ それが写真に行きついたのって、何故ですか。
蜷川 何で写真なのかってよく訊かれるんですけど、性に合ってたというか...。大学もグラフィックデザイン科で、写真学科に行ってないんです。写真は自分で勉強すればいいと思って。写真家になるキッカケについて、面白い話が無いんですよ。流れるようにたどりついたので。
女子プロ いまだにネガフィルムを使っていらっしゃいますよね。
蜷川 そうですね、作品は絶対にネガです。でも最近は仕事で、スタジオ撮影の場合は、デジタルの時もあります。でも物理的な問題で、いつまで続けられるかっていうのはありますね。今使っているフィルムとか、廃番になったものを、大量にストックしている状態なので。 フィルムのほうが、自分が表現したいものが一発で出るんですよ。デジタルだと、プリントをスキャンして、粒子を荒らして、調整してっていう手間があって、それがまったくもって馬鹿らしいんです。
あと、デジタルって何かを消費して撮るわけじゃないので、いっぱい撮って後で調整すればいいやと思いがちなんですけど、フィルムだと消費しますから、緊張感が圧倒的に違うんです。集中度が違う。
それに、デジタルで、撮ってすぐモニターで出て来るのは便利なんですけど、すごく深い、相手をどこまで引き出せるかっていう撮影の時は、やりにくいですね。実況中継みたいに、(被写体と自分の)二人の関係が第三者に見られちゃうっていうのは、そこに神秘性が生まれないので。ケースバイケースですかね、デジタルで便利なことも多いですからね。
女子プロ ちなみにプライベートの時は何で撮ってるんですか。
蜷川 記念写真で撮るのは、完璧にデジカメですね。
女子プロ ここにあるカメラですね。機種、なんですか?
蜷川 なんだっけ、これ?(笑)。
女子プロ え、こだわりゼロなんですか...。
      <p class="caption">すごく可愛くデコってる、蜷川さんの携帯とプライペートデジカメ。ちなみにデジカメは、この取材直前に落っことし、液晶部分が修復不可能なくらいに壊れちゃったんだそうです...。

すごく可愛くデコってる、蜷川さんの携帯とプライペートデジカメ。ちなみにデジカメは、この取材直前に落っことし、液晶部分が修復不可能なくらいに壊れちゃったんだそうです...。

女子プロ 仕事の時に、感情移入出来ない被写体の時って、どうされるんですか? 全然可愛いと思えないものだったりしたら。
蜷川 仕事を始めて15年たってるんですけど、どうにも感情移入出来なかった人......いますね。 でも、技術的に、写真的には成立するレベルには落とし込めますけどね。本当にごくまれにあるんですよ。完璧に向こうが閉じちゃったりとか、どーしても相手が好きになれなかった時とか。具体的には2人いましたねえ(笑)。
女子プロ ああー(笑)。
蜷川 でも、だいたい全員好きになれるんですよ。私、いいところを見つけるのは得意で。撮影って2、3時間じゃないですか、その時間だけ相手を好きになることは出来るんです。脳内でピントを合わせる時に、「ああこの人、ステキ、好き好き」って、期間限定だったら出来るんです。
女子プロ 男性と女性、どっちが撮りやすいですか?
蜷川 女性の時は、男性的な気分になったり、同士みたいな気分になったり、母と子になったり、いろんなパターンがあるんです。でも男の人は「ステキ」って思うしかないから、すっごい実際の好みが反映されちゃうんですよね(笑)。
女子プロ 男性を撮ったシリーズ『蜷川妄想劇場』(集英社刊)を拝見してて、それはなんとなく感じました。
蜷川 バレるよね(笑)。。
女性ファッション誌「MORE」で連載された超豪華俳優、男性タレント16名を撮影したグラビア&エッセイ集。『蜷川妄想劇場~mika's daydreaming theater~』¥1890(税込)集英社刊。

女性ファッション誌「MORE」で連載された超豪華俳優、男性タレント16名を撮影したグラビア&エッセイ集。『蜷川妄想劇場~mika's daydreaming theater~』¥1890(税込)集英社刊。

女子プロ プライベートでは、好きな男性を撮ったりしないんですか。
蜷川 しないですね。そこはリンクしないんですよね。私生活と撮ることって全然別で。撮影してる時に「この人ステキ、好き」ってなっても、その後どっか飲みに行く? っていうふうに、まったくならない。その空間だけの疑似恋愛的なものだけで、実生活には何も降りて来ないんですよ。 皆にも言われるんですよ、あんなに親密に撮影してて、何で付き合うことになったりしないの? って。そうだったらいいのにねえ〜、と自分でも思うんですけどね。
女子プロ 撮りがいのある、たまらない男性の被写体って、誰ですか。
蜷川 やっぱり安藤政信くんかな。こないだ上海に一緒に行って撮影したんですけど、カッコよかったですねえ。相性がよくて、引き出してくれるんですよね、安藤くんにリードしてもらってますね。
女子プロ 女性だと?
蜷川 やっぱり土屋アンナですね。何度撮っても新鮮だし、私にしか撮れないアンナがいるし。生き方とか、今を象徴している女性じゃないですか。アンナには私も憧れますね、カッコイイなあって。 アンナも「私を見て!」っていうのが、あまりない人ですね。「可愛い」って言うと嫌がるし(笑)。
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インタビュー受けてもいいよ!というセンパイからの奇跡のご連絡をお待ちしております。

やってる人

イベリコ

新月生まれの牡羊座。中目黒在住。美容関連のライターを経て、広告会社に転職。現在修行中。ニット帽を愛用していたらドングリと呼ばれ、転じて「イベリコ」と…

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二重人格のAB型。乙女座。デザイナー。眼鏡のせいで一見しっかり者に間違われるが、めんどうくさがりで優柔不断で要領が悪い。体が丈夫なのと酒に強いことが自…

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大きな目がキョロキョロ。神出鬼没の関西生まれの東京女子っす。妖怪のくせに、ラテンな性格。趣味はライブに行くこと。あぁ、毎日がフジロックだったらいい…

大塚幸代(ライター)

デイリーポータルZ」「地球のココロ」で連載中です。
個人サイト「日々の凧あげ通信

小峰千佳(編集)

ファミレスとタクシー、この2つがあれば私の東京の夜は安泰。最近はバーでの1人飲みを覚えてしまったせいかハードボイルド傾向。お仕事はアウトローから正統派までさまざま。

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